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世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、日常の素顔から大会日記までをお届けします。

世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!
日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、
日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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初めて覚えた手話が「ありがとう」

12月上旬、北海道の大雪山の旭岳は大雪だった。
全国からクロカン選手が集まり、広いクロカンコースも大渋滞になっていた。ここにいると、日本はこんなにクロカンが盛んなのかと思えるほどの高校生や大学生、実業団チーム、そしてパラリンピック・デフリンピックの選手たちで大賑わい。

[写真]2006旭岳合宿の様子

11月中旬から12月中旬大会が始まるまでの1ヶ月間、選手たちを一気に受け入れてくれる地元のホテルやロッジの方たちは、とても大変で、僕の実家も客商売をしていたから、よく分かる。
選手たちは気づいていないと思うが、スキー選手が泊まるには一般の観光客と違い、昼食の準備や沢山の洗濯物や乾燥室、ワックスルームやミーティングルームなどを用意しなければならない。
それに、部屋で休養をしている選手もいれば、朝早くからランニングしている選手など練習スケジュールは違うので、清掃の時間や館の運営も大変で、従業員の人達は、自宅に帰らず住み込みで働いていると言う。
それに、風邪など選手の体調も気をつかう。


そんなとても神経を使う運動選手たちを手際よく部屋割りし、朝早くから暖かい食事や細かい便宜を図ってくれる旭岳のホテルやロッジの人達はとても親切で、だからこそ、全国から初雪の便りと同時に何百人、何千人と集まるのだ。

[写真]2006旭岳合宿の食事風景

そして、今回、僕らパラリンピック・デフリンピック(聴覚障害者のためのオリンピック)チームは「万世閣ベアモンテ」に宿泊した。
車椅子選手のために部屋や大浴場にスロープを作ってくれるなどして受入れていただいた。
「完全なバリアフリーでなくて申し訳ない」と謝るフロントの方たちの真心に感動し、人の心が大切だと改めて感じさせてくれた。本当に感謝だ。


長い合宿の最終日の帰り際、ホテルの皆さんにデフリンピック選手が代表で、お礼の言葉を告げた。もちろん手話だった。
僕らには見慣れた光景も、旭岳のホテルの従業員の皆さんには、とても新鮮だったに違いない。
そして、手話通訳の方が教えてくれた「ありがとうございました」の手話でニッコリと応えてくれた。
雪の降るホテルの玄関で、お客様を見送る風景は良く見かけているけど、ホテルの従業員の皆さんが全員「ありがとうございました」と手話で見送ってくれた。
あ~、なにか北海道の、道産子の温かみがうれしくて、「来年もまた来るからね」と心で言ったのは僕だけじゃないと思った。