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世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、
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新田佳浩の決意に思う

3月4日、白馬のジャパンパラリンピック競技会場で日立システムスキー部後援会の約40名をはじめ沢山の方々で井口深雪の引退セレモニーを行っていた。


挨拶していただいたJPC(日本パラリンピック委員会)の事務局長中森氏が「長野・トリノ2大会で金に輝いた井口選手の引退は、とても惜しまれるが、次に続く新田選手がバンクーバーでは、金メダルを狙ってほしい」と、ジャパンパラリンピック参加者やクロカン協会、日本チームを激励してくださった。


僕はその時思った事がある。
普通、このような場面では、多くの選手が参加しているので、「この中から金メダリストが出てほしい」となるはずだ。それを、あえて中森氏が新田個人の名前を挙げたのは、新田佳浩へ期待する気持ちがつい表に出てしまったのだろう。


新田佳浩は、昨年11月、アディダスジャパンを円満退社し、新たな練習環境を求めて日立システムの門をたたいた。
2002年のソルトレーク、不振にあえいでいた日本選手団を救ったのは新田の銅メダルだった。そして2003年、日本人で初めて、障害者スキー世界大会で金メダルをとった。
その時の興奮を今でも憶えている。そして、日本でも新聞各社に大きく報道され、新幹線の車内や銀座などの電光ニュースでも報道が流れていたという。障害者スポーツでは、当時異例の扱いだったにちがいない。


ストック1本で走る新田選手のクラシカルの技術は世界トップレベルだ。
しかし、ここ数年、結果がなかなか出ず、勝てない本人が精神的にも一番つらかったに違いない。


今シーズンは、あえてワールドカップの遠征を遅らせて、じっくりと日本でトレーニングを積んできた。
国体3連覇や全日本で活躍する山室選手(飯山スキークラブ)との合同合宿やデーター分析、フォーム分析を行ってきた。
そして、この3月10日から開催されるワールドカップ・カナダ大会で表彰台を狙っている。


井口深雪の引退するこの大会で、新田佳浩は燃えている。
もちろん新田だけではない、出来島桃子、太田渉子、近藤さつき、瀧上賢治、平沢知緒理が、このカナダ・バンクーバーでしっかりと引き継ごうとしている。


そう思ったとき、新田佳浩の決意は僕らチーム全員の決意でもあるのだ。
いよいよ2007シーズンのファイナルの戦いが始まる。


[写真]フェリーの船上 新田佳浩
バンクーバーからフェリーで向かう、マウント・ワシントンへ。