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世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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障害者スポーツ選手の用具の工夫|荒井監督のパラリンピック競技ノルディックスキー講座

めざせ!2010バンクーバーパラリンピック荒井監督のパラリンピック競技ノルディックスキー講座

質問1:選手はどんな用具を使用しているのですか?

答え選手が使用しているのは、市販の用具です。それぞれの障害に合わせて工夫が施されています。
ノルディックスキーでは、片方の腕や手に障害がある選手は、2本のスキー板と1本のストックを使って滑りますし、両方の腕や手に障害のある選手はストックなしで競技に臨みます。
下半身に障害のある選手や車いすを使用している選手の場合は、シットスキーと呼ばれる、専用のフレームに2本のノルディック用スキー板を装着したものに座って競技を行います。

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質問2:障害をカバーするためにどんな工夫をしているのですか?

答え

日立ソリューションズスキー部の選手達はどんな工夫をしているかみてみましょう。


太田渉子選手の場合


LW 8のクラスに属する太田渉子選手は、先天性の手首から先が欠損している障害です。
太田選手の場合は、ストック1本と2本のスキーで競技をします。練習もストック1本を持って行うため、障害のある方の手をあまり使わないんです。
そのため、どうしても身体のバランスや、筋肉のつき方が違ってきます。
クロスカントリースキーは、バランスがとても大切なスポーツと言われていて、そのバランスをいかにとれるかがポイントです。
障害のある方の手をいかに使って、普段から筋肉をつけていくか、また、肩も使っていかないと可動域が固まってきてしましますから、普段から、左右両方、バランスよくからだづくりをしていくかが大切になってきます。

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それから、例えば、僕の場合でしたら、手首の先を動かすことができますから、血液が循環して体温を一定に保てますけど、太田選手の場合は手首から先がないために、どうしても急激に冷たくなってしまいます。
ですから、靴下を改良した手袋のようなものをかけたり、赤ちゃん用の手袋をさしたりして防寒対策をしています。

[写真]太田渉子選手 防寒対策しています

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長田弘幸選手の場合


LW 10(両下肢障害)の長田弘幸選手は肢体の障害で、普段は車椅子で生活しています。
競技では、シットスキーでレースに参加します。
シットスキーの開発はまだまだ遅れていて、全般的にスキーに箱状のものを乗せたレベルですが、長田選手のシットスキーも開発中です。
もっと良いモデルが出来て、日本でも肢体の障害のある車椅子の方が、シットスキーを使って、雪山でのクロスカントリースキーを競技としてだけでなく、楽しみたいという人たちが増えてくるきっかけになるとよいと思っています。

[写真]長田弘幸選手 シットスキーの開発が進められています


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井口深雪選手の場合

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B 1クラスで活躍した井口深雪選手は、網膜色素変性症という視覚の障害で、ほとんど見えていませんでした。
当時、目の前に拳骨をおいたような感じで、視野のまわりがほんの少し見えているくらいでした。
ほんの少し視覚がありましたが、井口選手はあえて全て視覚をシャットアウトして、B 1という全盲などの選手が属する重度の障害のクラスに属して、競技にのぞんでいました。
見えないなかで、どうやって走路を把握しながら、滑走できるのか、みてみましょう。

[写真]小林深雪選手 視覚をシャットアウトしています


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