
2009年10月21日(水)[日立ソリューションズ チームアウローラ]
障害者スポーツ選手との接し方|荒井監督のパラリンピック競技ノルディックスキー講座
障害者の選手との接し方
[質問一覧]

- 質問1:荒井監督が障害者ノルディックスキーに取組み始めた時のこと聞かせてください。
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長野パラリンピックが開催されると決まったときは、国内にチームもなければ組織もなかった。そこで、全国に呼びかけましたが、クロスカントリースキーなのにアルペンスキーを持ってくる人がいたり、シットスキーもまだ日本になかったりといった状況で、とにかく用具を揃えて覚えることから始めました。シットスキーも「ストック持ってこいでみて」と、言っても誰もできない状態でした。それが1996年でしたから、その当時は、2年後の98年長野パラリンピックの本番には絶対に間に合わないと思われる状況でした。そのようななかでも、才能ある選手が参加するチャンスにも恵まれ、はじめての長野パラリンピックで井口深雪選手が金メダリストに輝きました。
- 質問2:障害者スポーツに携わって、困難なことは何でしたか?
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何が一番大変かというとスタッフが少ないことです。例えば、僕は聴覚障害者のスポーツにも携わっていますが、手話の通訳をやってくれる人が必要だったり、海外からの情報もたくさん届きますので英語の通訳の人、また、大会を運営するボランティアスタッフも、まだまだ必要です。
通訳の人はもちろん、例えば、栄養学を学んでいる子がいたら、選手のためにカロリー計算して食事をつくってくれたり、それぞれ持っている特技を活かして支えてくれるスタッフが集まってくれたらよいと思います。 - 質問3:障害者の選手の方々に接するときに配慮することはありますか?
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コーチとして、その人の障害のあるところをしっかり聞くことが大切だと思っています。どこに傷があるのか、どこが動かないのか、どこまで動くのかといったことを聞いて、実際にやってみます。
例えば、手に障害のある選手でしたら、障害のある手をよく見せてもらうことが大切ですね。寒い時に血流がちゃんと流れているのか、それとも冷たくなっていくのか、また、腕の周りの太さはどれくらいなのか、可動域はどうなのかといったことを見ていきます。 - 質問4:障害者の方に障害について聞いてよいですか?
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聞いてみていいと思います。聞かれて嫌な人は答えない。でも、大体は自分のことちゃんと聞いてくれた、触ってくれたということに、逆に安心感があると思いますよ。
僕は、その人に手がなかったりすると、そのあたりにどうしても目がいっちゃう。だから最初に見せてもらう。「どうなってるんですか」って。
「ここは痛い、痒い」と言うと、神経がきていることがわかります。逆に感覚がないと、神経がきていないことがわかる。また、「その小さな部分は親指なの?小指なの?」といって、一緒に見て動かしていくと「ちゃんと神経が5つの指にきてるんだね」といった話になったりします。
ちょっと動かしてみてっていうと、結構動くから「手首の関節まで神経が来てるんだな」と、わかる。そして、関節に神経が残ってるということは、前腕の筋肉がついているってことだから「鍛えれば筋肉がつかえるんだね」と話したり、逆に関節まで神経がなければ「その部分は筋肉がないから無理なんだね」と言って、そこからトレーニングも組まれていきます。
こうやって、触ったり、聞くことによってすごい信頼関係が生まれます。 - 質問5:選手の障害を理解するために監督はどんなことをしていますか?