2008年02月03日(日)[荒井秀樹]
渉子の優しさ
ドイツ、フィンランドと続いたワールドカップも、いよいよ最終戦。
この連戦に、欠かせないスタッフたちがいる。
それは、選手のスキーを作るワックスチームだ。
早朝から深夜まで、この6畳間ぐらいのキャビンでワックスの作業を続ける。
どんな気象や雪質にも対応できるように、ワックステストを何回も繰り返し、データを取っていく。
そんな大変な作業に、ボランティアで参加してくれている莅戸剛仁コーチ(右)と若井陽介くんだ。
莅戸先生は北海道の旭川盲学校の体育の先生。高校時代は全日本のクロスカントリー大会で優勝している経験者。
若井君は仙台大学の4年生でスキー部のキャプテン。まじめで、今年の4月から東京都障害者スポーツセンターで指導員の就職が決まっている。
二人とも「パラのチームが大好きだ」と言って参加してくれている。
本当に感謝だ。
クラシカルのレースでは、グライダーワックス以外にも、キックの出来るグリップワックスもあり、高度な知識や技術が必要だ。
朝の4時に出発することもあった。
そして、昼食は朝のパンに野菜・ハム・チーズをはさんで持っていく。
そんなワックスチームの大変さを皆選手たちは知っている。
だからこそ、選手たちがレース後、まず最初に感謝するのは、ワックススタッフにだ。
昨日のレース後、太田渉子は寮で炊いたご飯で、おにぎりを作って差し入れをしたそうだ。
感激した若井君が夜に、「監督、渉子ちゃんがキャビンに、おにぎり差し入れしてくれました。すごく元気がでました」と。
この冬景色、全てがダーク色のフィンランドで、とてもうれしい話を聞いた。