
2008年06月02日(月)[荒井秀樹]
フィンランドの犬
今まで知らなかったけど、渉子は犬が苦手らしい。
そんな渉子に災難が待ち構えていた。
僕がフィンランドに来る1週間前のこと。
学校帰りに渉子の前に、いきなり野良犬が現れたそうだ。
口のまわりが真っ赤で、よく見るとウサギのようなものをくわえ、
「ガルルル」ってうなって、今にも襲い掛かってくる気配・・・。
あわてた渉子が、「アワワワ・・」と今来た道を逆戻り。
練習でもみせないスピードで、全力ダッシュしたそうだ。
道路を通る車に助けを求めようと手を振ったけど・・
誰も止まってくれない・・・。
多分、運転手さんたちは、
「日本人の高校生と犬が楽しそうに笑いながら、かけっこしてる・・」ってのんきに見ていたに違いない。
しかたない渉子は、歩行者は右側通行のフィンランドなのに、
超スピードで走る車の合間をぬって左側に渡り、犬を振り切って
片道10kを全力で帰ってきたそうだ。
思わず笑ってしまったが、本人にとっては真剣だ。
ドッグフードしか知らない日本の犬と比べると、
フィンランドの犬はたくましい。
東京で、ウサギをくわえたガルルル犬がいたら、
真っ先に警察に通報されているだろう。
こんなことがあると、多分、渉子の犬嫌いは、もう直らない。
でも僕は、このガルルル犬が、いつも渉子の前に現れて、
全力ダッシュのスピード練習をさせてくれるなら、
渉子に足りないパワーと持久力をつけてくれるかもしれないと思う。
2010バンクーバーパラリンピックのスプリントレースで金メダル・・
表彰台に、なぜかガルルル犬と渉子が・・・
なんか夢のようである。