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世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、
日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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ソチパラリンピックコースのシミュレーションシステム「アバタープロジェクト」を発表

2013年8月26日、日立ソリューションズ本社にて「GPSデータと映像をトレッドミルに組み込んだシミュレーションシステム開発」の記者発表を行いました。


当ブログでは、ソチでのデータ収集の様子などを荒井監督がレポートしてきました。この度は、いよいよシミュレーションシステムが日立ソリューションズと同志社大学スポーツ健康科学部の協力により実現し、選手のトレーニングがスタートしました。


[写真]大類浩人事総務統括本部総務部部長
(シミュレーションシステム開発を発表する、大類浩 人事総務統括本部総務部部長)


このシステムは「アバタープロジェクト」と呼ばれています。日立ソリューションズの持つGPS(全地球測位システム)や映像処理の技術を活用して、ソチパラリンピックのコースの地形と景色を同期させたデータを作成し、同志社大学スポーツ健康科学部の協力を得て大型トレッドミルに組み込みこんだものです。


[写真]システム概要図
(システム概要図:日立ソリューションズが作成したコースデータを、同志社大学のトレッドミルに入れ、同期した映像を投影する)


日立ソリューションズスキー部では「ソチ・センターポールプロジェクト」を掲げ選手の強化を図っており、「アバタープロジェクト」はその中でも中核となるシステムです。
日立ソリューションズスキー部に所属する新田佳浩、久保恒造、太田渉子、阿部友里香は世界トップレベルの実績を上げています。ソチパラリンピックに向けたさらなる強化対策として、走力や射撃時間の短縮、メンタルの強化、ワックス選定とともに大きなポイントとしてコース攻略の重要性があります。


[写真]荒井秀樹監督
(荒井秀樹監督)


しかし、ソチパラリンピックでは工事の遅れもあり、現地のコースを滑る機会が少ないことから、日立ソリューションズの地図情報システム部門、映像処理部門の方にシミュレーションシステムの実現を荒井監督から相談したところ、「すぐに自転車にカメラを付けて、テスト版を作ってくれたんです。それを見たらすごいリアルなので、これはいけるなと」。
こうした機動力あるバックアップを得て、今回のプロジェクトがスタートしました。


「アバタープロジェクト」の開発にあたっては、事前に決めた区画ごとにGPSデータからローラーの速度と傾斜を算出し、トレッドミルの動作プログラムにその数値を連携させる仕組みを作っています。
そして、目の前のスクリーンにはその位置情報に合った景色が映し出されるように調整をしています。


[写真]ソチ・コースシミュレーションシステム「アバタープロジェクト」
(ソチ・コースシミュレーションシステム「アバタープロジェクト」)


また、走行中の選手が傾斜の上り下りを速やかに判断できるように、映像に矢印を表示。そして、スクリーンの下部分にはコース全体と走行中の区画も表示し、コース全体を見据えたトレーニングが行えるようにしています。


荒井監督は、「ソチのコースは初めに長い坂が続きます。そこでいかに乳酸をためない走りをできるか。
同志社大学では走ってすぐに乳酸の測定ができますので、身体測定データを見ながらコース戦略を組み立てていくことができると思います。」と期待を語りました。


[写真]斉藤元治
(地図情報システムを活用しコースデータ作成を担当した、斉藤元治 社会システム事業部空間情報ソリューション本部GIS部グループマネージャ)


[写真]森田功一
(映像処理ソフトの開発を担当した、森田功一 ビジネスプラットフォーム本部映像ビジネス推進部第1グループ技師)


映像はスキー部の嶋田コーチが頭に3台のカメラを付けて、ソチのコースを滑りながら撮影してきました。


[写真]嶋田コーチ
(頭の3方向にカメラを付け、撮影の準備をする嶋田コーチ)


▼このシステムの活用により次の3点の効果が期待されています。
1.選手がコースを早くから体感し、コース戦略を立案できる。
2.選手の身体測定データを分析し、効果的なトレーニングをプログラムできる。
3.コースの全景を把握し、日当たりを考慮したワックス対策を検討できる。


今年3月のプレパラリンピックでソチのコースを体験している選手からは、アバタープロジェクトで滑ることで、「実際のコースのレイアウトを思い出した」など、リアルな反応があったそうです。
今後は一か月に一回程度の頻度で活用し、コース攻略に役立てていきます。また、同志社大学スポーツ健康科学部の藤澤義彦教授のゼミでは研究活動の一環としてトレッドミル走行時の選手たちの乳酸値や心拍を測定し分析し、今後のトレーニングに活用される予定です。


明日、8月28日(水)14:00より同志社大学にてトレッドミル公開トレーニングを行います。


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