2007年01月23日(火)[荒井秀樹]
シットスキーに感じるパラリンピックの凄さ
ドイツで行われている障害者スキーワールドカップは、いよいよ後半戦に入った。
21日のレース、コース脇に、地元のこどもたちが応援に駆けつけてくれていた。クロカンのオーベルストドルフ・ジュニアスキークラブのこども達。そのこどもたちを驚かせたのは、世界のシットスキー選手たちの凄さだった。
僕は、このシットスキーこそ、全てのスポーツの中の、キングオブスポーツだと思っている。そんな彼らの滑りを見たとき、誰もが驚き、その凄さに言葉を失う。
(応援する子供たちの目は輝いていた)
障害のことを理解していれば、なおさらだ。
僕は、それでもスポーツに魅せられて世界を目指すシットスキー選手たちの努力が、どんなに大変かを知っている。
スポーツは、限界を感じさせない。誰にでも可能性はあるということを教えてくれている。
健常者でさえ、スキーを開脚して登る急坂を、彼らは腕だけの力で進む。それも、少しでもタイミングを間違えると、後ろへ逆戻り、下がり、転げ落ちてしまうのだ。
ここオーベルストドルフのコースは難所だ。何人もの選手が転げ落ちていった。そして何回もトライして、誰一人として、ギブアップするものはいない。
そう、いないのだ。
(力尽きて落ちていく選手)
コーチたちの、
「こんな坂にまけるな!」
「さあ、登ってみろ!」
という檄が、
ワンポールごとに飛ぶ。
それにつられるかのように
こどもたちも、声をからして応援する。
こんな限界に挑戦する彼らを見たとき、
スポーツの持つ素晴らしさを感じさせてくれるし、パラリンピックの凄さを改めて教えてくれる。
それは、彼らの誇りがそこにあるからだろう。人間として、自信に満ちた大きな彼らがそこにいる。
オーベルストドルフも、あと2レースとなった。
シットスキーに声援を送ったこどもたちの瞳がとても輝いてみえた。
そして僕は、とても大切なことを教えてくれているパラリンピック選手たちに、
心から「ありがとう」と声援を送った。
(コーチの檄が飛ぶ)