2007年04月03日(火)[荒井秀樹]
今年一番の金メダル
先週、こども達とシットスキーに出かけ、とても楽しいひと時を過ごした。
これも、今シーズン怪我でリハビリを続けている長田選手が全国を回ってシットスキーの普及や障害のある子供たちにスキーを教えてくれたから実現した企画でした。参加者から沢山のお礼のメールを頂いた。
旭川や秋田、福島でも。
あらためて感謝です。
僕からも「ナガッちゃん、ありがとう。」
(こどもにシットスキーを教える長田選手。)
28日に行われた日立システムスキー部の活動報告会。
メダルをかけた井口選手・新田選手・近藤選手にまじって長田選手も報告会に参加した。お忙しい中、沢山の社員の方が参加してくださり、ワールドカップのメダルにお祝いをしていただいた。また、井口選手の引退セレモニーもあり、感謝の気持ちでいっぱいだ。
そんな中、長田選手の胸中は。
やはり「早く復帰して戦いたい」と思っていたにちがいない。
大会に出れなかった自分がなにか「つらかった」かも知れない。
でも僕は、今年の長田こそ、一番の殊勲者だと思っている。
故障した肩の腱板を治療する大手術をして、ここまで回復し、もう一回シットスキーに乗る事ができるようになったのだ。
きっと痛くて、泣いたこともあったと思う。
手術後、奥さんから、
「滅多に弱音をはかないうちの人が、痛い、痛い・・って言っているんですけど~」と電話をもらった。
僕は、「手術は成功したから、大丈夫だから・・またやれるから・・」と言うのが精一杯で、とても心配だった。
なぜなら、車椅子で生活する人にとって、手は命と同じくらい大切なのだと思っているからだ。
そして、順調に回復し、リハビリも進み、雪のシーズンを迎え長田選手は、
他の選手たちが活躍しているので、自分も・・と思ったに違いない。
でも、僕は、今シーズンは完全リハビリに専念するように伝えた。
本人は、「もうやれる!」と、やけをおこしたくなったかも知れない。
でも、長田選手はそんなことを言わず一人日本で黙々とトレーニングを続け、シットスキーの普及や講習会、ちびっ子のイベントに参加をして今シーズン戦ってくれた。
僕は、そんな長田選手の想いや活動こそ、僕らの原点で、子供達のあの笑顔こそ、今年、一番の金メダルだと思っている。
長田選手の今年一年の経験は、これからの選手生活の中で、とても大切なことだったに違いない。
僕はいつも、あの2004年カナダのワールドカップで表彰台の真ん中に立つ長田を思い出す。
ロシア・ウクライナを破っての大金星だった。当時の北海道新聞は大々的に報道され、時の人となった長田選手が似顔絵で挿絵になって掲載されていたのを思い出す。
来シーズンの長田選手に、僕は期待をしている。
必ず復活し、長田旋風を巻き起こしてくれるに違いない。
結果だけではなく、スポーツの大切さを教えてくれるだろう。
そして、どうか、彼の背中を、多くの皆さんの声援で押してほしい。
1cmでも、2cmでも、彼が前に進むのを願っている。
スキー部報告会。僕は、そう思っていた。
(シットスキーをともにしたこどもたちと。長田選手は右。)