2007年07月04日(水)[荒井秀樹]
井口深雪からのビッグな贈り物
この6月いっぱいで井口深雪が日立システムを退職した。
僕は出張のため、職場で行われた送別会に出席できなく、とても残念だった。
職場の人からは、とてもいい会だったと聞いた。
すでに皆さんは、ご存知だと思うが、アメリカで理学療法の研究に励む井口さんと、温かい家庭を築くため、この夏、渡米する。
あと数年で研究が終われば、日本に帰って来られると聞く。また、その時が楽しみだ。
僕は、あの長野パラリンピックの前の97年、今からちょうど10年前。
深雪の職場、中央区新川の特養老人ホームから隅田川を渡り、僕が勤めていた越中島にある江東区深川スポーツセンターへ通ってくる深雪を思い出す。
黙々とトレーニングジムで練習に励み、4階のランニング走路で走り続けていた。
今考えると、とても単調なトレーニングだったけど、
ただ無我夢中で、みんなして、まだ見ぬ初出場のパラリンピックへのワクワクした想いを抱いて取組んでいたあの時代が懐かしい。
長い間日本チームをひっぱり、活躍してきた「井口深雪さん、本当にお疲れ様でした。」
そんな井口深雪のもとに、IPC(国際パラリンピック委員会)が、今シーズンの活躍を讃え、2007.3月の月間MVP賞にノミネートされたとのメールがJPC(日本パラリンピック委員会)へ届いた。
これは、スキーや冬の競技だけではなく、世界の障害者スポーツ全体でのMVP賞だと聞く。
正式な通知を頂いてからと思ったが、IPCのホームページに掲載されているので、皆さんにご紹介する。
JPC事務局によれば、日本人では初めてのMVP受賞ではないかと話す。
今シーズンの井口深雪の活躍は、バイアスロン競技の全レース6戦し、5個の金メダルと僅差の銀メダル。
射撃も全レース90発中89発命中の断トツの強さを誇った。
世界から、こんな凄いブラインド選手は、もう出ないのではないかとさえ言われている。
そんな彼女を讃えたこのMVP賞は、日本だけではなく、世界のブラインド選手に大きな希望を与えている。
そう、「どんなことがあっても、あきらめないで挑戦する」なのだ。
井口深雪のこのMVP賞は、僕たちに、
そんなメッセージを伝えてくれているビッグな贈り物のような気がしてならないのだ。