
2011年02月25日(金)[荒井秀樹]
バイアスロンに勝つために
快晴のドイツ。
シットスキー・パシュートが行われた。
期待のかかる久保恒造が出場、同じLW11(脊損)クラスの世界のトップであるカナダのクリス選手、イタリアのエンゾ選手との争いとなる。
昨シーズンまでは、彼らにリードされていたが、今季は夏のトレーニングの成果も出ており楽しみだった。
なぜかと言うと、久保恒造は、得意の射撃を生かし、バイアスロン競技に特化していて、クロスカントリー種目にエントリーするのは久しぶり。
世界の強豪が全員出場している今日のレース、エキサイティングなレースが予想された。
夏の車いすマラソントレーニングで、持久力・スピード力が養われた。
シットスキー1kmあたり10秒近くは短縮している。
久保恒造は、この日、6位以内を目標にしていた。
シットスキーのLW12(下肢切断)選手らは、1kmあたり3分10秒から20秒が主流となっている。
上腕の力での、この高速レースに、LW11、LW10(障害の重い脊損)がどう対抗するかが課題だ。
ファーストレースは、2.5kmで行われた。
前半は大きなだら下りが多い、1.5km地点で久保恒造は秒差だったが9位。
後半の登りで、上位を狙った。
コースにいるコーチから、クリス選手とのタイム差や順位が告げられる。歯を食いしばって走る久保恒造。
セカンドレース(決勝)は、ファーストレースの順位でスタートしていくパシュート(追い抜き)、少しでもトップとのタイムを縮めたい。
ペースをあげて、直線200mクリスに3秒勝っていることを伝え頑張らせた。
ゴール、4位に食い込む健闘をみせた。
セカンドレースは、2番手スタート(障害のハンデタイムが加味されるため)だ。
LW12選手たちが、後ろから追ってくる展開で、2.5kmコースを2周する5㎞パシュートレース。
3位を狙うなら、LW12のノルウェーのラーセン選手との戦い、40秒差を逃げ切りたがったが、2周目後半に追いつかれ逃げ切ることはできなかった。大健闘の5位だった。
(どんなレースでも”全力投球”それが久保の真骨頂)
昨シーズンは、このメンバーで10位以内を目標だっただけに、力をつけてきた。
久保恒造は、1kmを3分35秒で、チャンピオンのイレク選手は3分20秒だった。
登りは抜群の闘争本能で自信がある。課題は、ダウンヒルでのいかにブレーキを少なく滑走させるか、平地における加速させるフォーム作りが重要だ。
バイアスロンで2014年ソチ・パラリンピックの表彰台をめざすためにも、この課題を克服していきたい。
久保恒造、納得のレースだった。