2008年04月11日(金)[荒井秀樹]
パラリンピックに向けて 新田佳浩の決意
3月の終わり、新田佳浩と太田渉子で2010バンクーバーパラリンピックコースを試走してきた。
アップダウンがきつく、下る斜面も休ましてはくれない。
シットスキーのコースも、オリンピックコースとほぼ一緒で、急な斜面を登れるかどうかのパワーの差が、そのまま勝敗につながるだろう。
雪質は湿って重く、スキーを滑らしてくれない日もあった。
スキー板のストラクチャーが勝負だろう。
太田渉子も、ゴール100m手前で、めずらしく転倒するシーンもあった。
この難コースは、容赦なく選手へボディブローを撃ち続けてくるようだ。
トリノパラリンピックでは、平坦なコースが多かった。
新田や太田の立位障害の部(スタンディングクラス)は、腕の障害、脚の障害の選手が一緒に競い合う。
平坦なコースが多いと、脚の障害選手より、腕の障害選手は不利と言われている。
なぜかというと、両手を使って押し切る走法(段滑走:ダブルポール)が多く使われる平坦なコースでは、 片腕と両腕では、パワーがまるで違うからだ。
でも、新田は言う。
「だからこそ、勝つ喜びがある」
難コースを見て、「きついな~」と思うのではなく、
「俺に向いているコース」とプラス思考で考えられること。
このことは、とても重要だ。
そんな新田を見ていると、思い出すことがある。
パラリンピックの創設者 グッドマン博士が残した
「失われたものを数えるな、残っているものを最大限に生かせ」の言葉だ。
宿舎での空いている時間も、筋トレをする新田は、片腕でも上手に腕立て伏せをし、切断された左手をも鍛えている。
誰にも負けない筋力をつけようと。
そう、「ネバーギブアップ」だ。