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世界の頂点をめざし、パラスポーツの裾野を広げたい!日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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日立ソリューションズ「チームAUROEA(アウローラ)」の選手・監督が、
日常の素顔から大会日記までをお届けします。

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25歳、障がいのある子を持つ母との会話

私事ですが、先日25歳を迎えました。
誕生日前日、「スペシャルオリンピックス日本・夏季ナショナルゲーム福岡の壮行トーチラン」が山形市で開催され、私はドリームサポーターとして、


「大会を頑張ってください。仲間と楽しんでください!」


と激励の言葉をかけさせていただきました。


警察、消防、地元企業、ボランティアの皆さんの協力の下、「we are the torch run!」という、リーダの元気なかけ声の後に「torch run! torch run! torch run!」と、参加者が大合唱をして壮行トーチランを盛り上げました。


このイベントに参加したある女性が


「私の友人の子が、太田さんと同じ障がいです」


と、教えてくれました。話は続き、


「友人は子育てに悩んでいてお話したいそうなのですが、次はいつ山形に来ますか?」


と聞かれました。私は、何か少しでも相談に乗れればと思い、連絡先を彼女に伝えてもらうようお願いしました。


その夜、一本の電話がありました。


「こんにちは、太田渉子さんですか?」


と、若い女性の声でした。話を聞くと、


「8カ月の子供は生まれつき手がありません。障がいのある方と接したこともなく、誰に相談してよいか分からずに悩んでいます」


とおっしゃいました。


「太田さんは普通の学校に通ったのですか?どんなことで苦労しましたか?」


と、彼女。


「普通の小中高に通い友達にも恵まれました。今は、生活で不自由を感じることはないです。
心配しなくても大丈夫ですよ...。」


と返すと、


「ありがとうございます...」


と、彼女は電話の向こうで泣いていました。
きっと今までずっと一人で不安を抱えてきたのだろうと思い、母は本当に強いなと胸が熱くなりました。


「もし私の子が障がいを持って生まれたら驚くと思いますが、かわいいと思います。
母がしてくれたように、愛情をもって育てたいです」


と、正直に言いました。もう、彼女は泣いていませんでした。


「この子が生まれて、遠い存在だった太田さんを身近に感じました。
これから壁にぶつかったときは、相談させてほしいです。この子にも会ってください。
今日は勢いで電話してしまったけど良かったです。ありがとうございました!」


と、明るい口調でした。


この電話に感謝するのは私の方です。電話の女性と歳が近かったことで、相手の立場や気持ちで考えることができましたし、初めて母の想いや言動の意味を悟ることができました。お電話どうもありがとうございました!!


恥ずかしいけど伝えたい感謝の気持ち...お母さん、25年前、私を生んで育ててくれてどうもありがとう。
障がいをもって生まれたけれど、幸せです。なぜなら、人の痛みがわかるから。
私もお母さんのように強く優しい人間になりたい。これからも温かく見守っていてね。


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