参加者からの質問にお答えしました
長:お二人にいろんな質問が寄せられているので、いくつかピックアップして質問します。
◎障がいがあっても、もっと働いて活躍したいのですが・・・
「障がい者雇用で今働いています。もっと働いて活躍したいと思っているんですが、就業に制限があったりしてもどかしく思っていることが多いです。お二人が障がいをお持ちになっていることで、同じような思いをされたことはありますか。またその解決方法があれば、お聞かせいただけると嬉しいです」
競技での話をすると、私の場合、すごく怪我が多いんです。特に数年前、日常生活も大変なぐらいの大きな怪我を手首にしてしまった。
トレーニングも今までの半分しかできない状況で、パフォーマンスをどう維持するのか、ライバルたちとどう勝負するのかを考えたときに、量ができないとなったらやっぱり質を求めるしかなかったんです。
まさに怪我の功名ですけども、今まで気付かなかったトレーニング方法や強化ポイントに気付くことができました。限られた時間の中で、凝縮する工夫をやっていたら、質の良いトレーニングに繋がり、得られるものがたくさんありました。
長:精神力やモチベーションに関する質問もいっぱい寄せられているんです。よく聞かれるかもしれませんが、プレッシャーを受けながら、モチベーションを維持向上する、ずっと前を向き続けるためのコツや考え方があればお聞きしたいです。
◎前を向く決断をした岸澤選手
僕は怪我をして足が動かなくなりましたが、それまで陸上競技に10年ほど取り組んできていたので、すごく落ち込んだんです。事故した瞬間に戻れれば、あの時こうしていれば、・・・「たられば」の思考がたくさん出てきたけれど、どれだけ考えてもやっぱり戻れないし、過去が変わることはないし、足が動くこともない。そうすると、前を向くしか選択肢がないと思うんですね、結局。でも選択する勇気とか、決断するには、時間が必要だったりします。
実は、僕は怪我をして1ヶ月後くらいには、パラスポーツをやっていこうと決めたので、決断するのにすごい時間は短かったんです。もともとスポーツが好きなのもありますが、支えてくれる人や、病院にお見舞いに来てくれる人がたくさんいて、「これまでの人生、こんなにも多くの人にサポートしてもらっていたんだ」って思えたんです。それってこれからの人生にもすごい活きるなって、その分もしっかり頑張ろうって思うきっかけになったんです。
そういう前を向く決断をどのタイミングでできるかが、大事になると僕は思っています。
だから今でも、モチベーションはぶれずに変わらないですね。逆に今は久保選手に教えてもらうようになってから、得る部分も増えたので楽しくなっちゃって、プレッシャー以前に楽しみで競技ができているところが大きいです。
◎久保選手が意識しているのは、他人ではなく自分との闘い
長:久保選手はどうですか。
競技を始めて22年ぐらい経ちますが、競技をやる上でテーマにしているのは「己に勝つ」です。
1年365日あって、その中でレースがどれだけあるかというと、10日から多くて20日ぐらいなんです。そう考えると、1年の340日、350日は、自分との戦いじゃないですか。数少ないレースで成果を出すことを考えると、やっぱり普段の私生活やトレーニングを充実させないといけない。
でも、結果が駄目だったときの積み重ねの方が、その後のことを考えると残ったものがたくさんあったと、22年やってきて強く感じています。
毎日毎日練習に励みながら、ああ今日もトレーニングするのか、きついな、と思いながらも一日一日を乗り越えている感じなんですが、でもそれしかないと思っています。
「車いす陸上競技を知る、楽しむ、応援する!」楽しんでいただけましたでしょうか。久保選手も岸澤選手も陸上競技のことを話し始めると止まらないようで、時間が進むにつれ話しが盛り上がっていきました。久保選手は理論家で細部まで追求する派、岸澤選手は天然ユーモアたっぷりの話しっぷりで、ファシリテーターのお二人も興味が尽きないようでした。
日立ソリューションズ チームAURORAに、ますますの応援をどうぞよろしくお願いいたします。