2008年09月05日(金)[荒井秀樹]
企業スポーツの心
北京オリンピックで感じたことの一つに、今回出場した日本選手らは、プロチームに所属する選手やスポンサー契約選手などのプロ選手が増えているように思える。
オリンピック選手の取り巻く環境も大きく変化しているのだろう。
でも、その中で企業スポーツの選手たちも活躍した。
特に金メダルを獲得したソフトボールチームがそうだ。
日本では、ここ10数年、実業団チームを持つ企業がだいぶ減っていると聞く。
しかし僕は、活躍する企業選手や、選手を応援する社員の方々の姿をテレビや新聞で見ると自分のことのように、とても応援したくなる。
選手も企業も、そして社員の方たちも全員で作り上げてきた、この日本独特の企業スポーツの仕組みが、今も息づいていると思うからだ。
日立システムスキー部もシンボルスポーツとして発足した。日本で最初のパラリンピックをめざす実業団チームだ。
僕は、以前から障害者スポーツも企業が取り組むスポーツの一つの選択肢になるだろうと主張してきた。
そして、そのパイオニアになればと思っている。
今年7月、北海道から妻子と離れ一人上京しスキー部に入部した久保恒造がいる。
会社は彼のために、腕力を鍛えるトレーニング機器エルコリーナーを大森にある「K2ビル」の一室に設置してくれた。久保の住まいからすぐ近く、いつでも練習できるようにしてくれている。
そんなある日こと、練習場に一枚のカードが貼ってあった。
カードには、
「久保さん、練習お疲れ様です。となりに事務所があるので遠慮せず、のぞいてください。みんな待ってます。」と。
久保は僕に話してくれた。
「うれしいです。みんなに応援されているって、とても実感しています。」
入社まもない彼にとって、忘れられない出来事だったに違いない。
僕は、企業スポーツの大切な原点は、ここにあるのだと思う。
プロ選手の何千万、何億円という契約金も素晴らしいが、企業選手にもかけがえのない「心の応援」が何百人、何千人といるのだと。
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