2008年09月13日(土)[荒井秀樹]
パラリンピックのスポーツ用車椅子が完成するまで
フィンランド合宿では、久保選手の用具を開発するためにシット部分の性能テストを行っている。
北京オリンピックやパラリンピックでも水着問題がクローズアップされたり、義足選手のオリンピック出場問題があったり、スポーツと用具との関係がこんなにも注目された年はないだろう。
(久保のシットを開発する。)
北京パラリンピックでも車椅子選手が使うスポーツ用車椅子は、大変な進歩を見せている。
一人一人の障害も違うので、それにあった用具が必要になってくるし、もちろん各競技の特性にあった機能がないとダメだ。
(お尻の型をとり、FRPのバケットシートが完成する。)
選手とコーチやメーカーとのチームワーク、そして議論がなければ、いい「物作り」はできない。
昨日は、平地、登り、下り、そして総合滑走のスピード測定とフィーリングテスト、バランステスト、伏せ・起き上がりタイムなどをテストした。
このデーターこそが、その議論する基礎資料になる。
(測定にはスピード測定器を使った)
どうしても冬の季節、雪の上でないと測定できないものばかりだ。
しかし、太田渉子が留学しているフィンランドのボッカティには、室内クロカンスキーコースがあり、
一年中スキートレーニングができる。
このスキートンネルでテストを行った。
(これがスキートンネル)
トンネル内は、マイナス7℃で保たれ、なんといっても寒い!
久保選手は動いているからいいが、機器を設定したり記録したりする僕にとっては、とても寒い。まるで冷凍庫にいるようだ。
午前中、3時間いたから、その日は一日中身体が冷え切っていた。
(スキートンネルで、「とにかく寒い!」)
でも、いいシットスキーが完成するなら、こんな寒さは逆に心地よい!
僕は、そう思えるのだ。
なぜなら、選手たちの笑顔は本当に素敵だから・・・
(もうピースが似合わなくなってきたと嘆く久保選手だった)
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